











「ぶっちゃけヤベーことやってんのは分かってるけど、大して嫌じゃねーしむしろやってて楽しいときもあるし?wオレにはこれが合ってんだろーな。それに、今の身分のほうが堂々と殺せるから悪くねーと思ってる。部のヤツらは正直気に入らねぇけどな。」
「クッソうぜぇしベタベタくっついてきて鬱陶しい。けど、あいつがいねーとなんか……なんでもねーよ。」
「あのバケモン、色んなものに薬混ぜて黙って飲ませようとしてきやがんだ。そのせいで何回キュウが飲んじまったか…はぁ…効果が確かな分、何が起こるか分かんねーからマジでヒヤヒヤすんだよ。」
「グチグチ小言が多くてだりぃ。この前なんか肩外れた時に自分で戻したらブチ切れやがった。治りゃ何でもいーってのに大袈裟なやつだなーったく。」
「ココロサンの妹ねぇ…。やたらよじ登ってくるしあの変なキメラは視界塞いでくるしでクソ邪魔。つーかなんかガキん時のキュウに似てねーか。」
「ミヤのやつに毎日毎日変なモン飲まされててカワイソーなやつ。オレだったらぜってー嫌。まーオレらがそいつを連れてきたんだけどなw」
最終更新日2026/3/3
長い間回収されていないゴミ・タバコの吸い殻が散乱し、ヒビ割れたタイルは黒ずんで汚れている。ここは季都のとある路地裏だ。そんな場所に、どこかからか拾ってきた段ボールを住処にし、生活をしている少年がいた。
少年に名前はない。正確には覚えていない。なにせ3歳だか2歳だかの頃に捨てられたのだから、5年もの間名前を呼ばれなかったら忘れるというものだ。名字だって皆目見当もつかない。
そんな彼は、日々盗みを働いたり、人から物を騙し取ったりすることで生き延びていた。特に、伯都の方からやってきた人間は大金を持っている上に平和ボケしていて騙しやすい。良い行いをして気持ちよくなろうとした人間が「せっかく情けをかけてやったのに」と怒声を上げて追いかけてくる滑稽な様を見ては、嘲笑いながら逃げる生活をしていた。ある日、食料を調達して住処に戻ると、同じくらいの歳の子どもが眠っていた。すやすやと上品に居眠りをする子ども...もとい水色髪の少年は、足元が少々汚れているものの、一目で金持ちの息子だということが分かるほど身なりが整っている。
「なんだこいつ。」
正直な呟きである。誰だって治安の良い都市部に住む子どもがスラム街の路地裏にいたらそう思うだろう。何より、伯都から季都まで相当な距離があるのだ。子ども一人でこんなところまで来るには交通機関を使うほかないだろうが、この水色髪の少年はバッグを持っていない上にポケットをまさぐっても何も入っていない。親とはぐれたのか...まさか、一人で歩いてきたのだろうか?
「なんでもいいや。おいおまえ!なにかってにおれのばしょでねてんだ。おきろ!!!」
あれこれ思案するより本人に訊いた方が早いと思ったのか、少年は水色髪の少年をバシバシと叩き起こす。すると、水色髪の少年は眠そうにくしくしと目を擦りながら起き上がった。
「んんなに...おかあさん...」
「だれがおかあさんだぼけ」
「ふぇ、あれ、女の子?」
水色髪の少年は少年を目で捉えると、そう言った。...確かに、少年の髪は立っていても地面につきそうなほど長い。おまけに変声期もまだまだ先な8歳の人間である。女の子と間違えるのも無理はないだろう。
「はぁ!?ねぼけやがって...!ぶっとばすぞくそがきが。」
「あわわ...えっと...ごめんね。」
彼のこれまでの人生にこれほどまで口が悪い男はいなかったのだろう。容赦なく罵声を浴びせてくる少年に驚きつつも、水色髪の少年は素直に謝罪した。
「きれいな髪をしてたから、間違えちゃったんだ。」
「あ?ばかにしてんのかてめぇ。」
「そんなつもりじゃ...どうして...?」
「は?だから、2しょくしかないおれのことをばかにしてんだろーが。」
...謝罪をしたが、どうやらその発言は少年の逆鱗に触れたようだった。
_そう、髪色。この国、伯ヶ京帝国には4つの地域に区分されるのだが、この地域ごとに髪色の数が違う。これにより、見た目で差別される人間も少なくないのだ。
黒と水色しか持たない少年もまた、よく差別される人間のうちの一人だった。
今目の前にいる水色髪の少年は、3色持っている。これまで生きてきた中で、人間に対して絶対的な不信感を抱くようになっていた少年は猜疑心を募らせ、攻撃的になる。
「はぁ...もーいい。つかおまえはやくでてけよ。ここおれのいえなんだよ。さんしょくだんごのおまえはとっととおうちにかえってぬくぬくしてろ。」
話し合うなどという選択肢は少年にはない。少年は、水色髪の少年を押し飛ばすと、悪態をついてそう言い放つ。
「...ごめん。それは無理かも。」
つい先ほどまでおどおどしていた水色髪の少年だったが、突然表情を変えてそう言った。
悪態を貫き通せばどこかに消えるだろうと考えていた少年もそれは予想外だったようで、冷たい態度は変わらないものの思わず問い返す。
「へー。で?」
「ぼく、家出してきたんだ。お母さんとすごい言い争いになって、それで...しばらく帰りたくないなって」
「だからってここにいすわるつもりじゃねーだろーな」
少年は何か嫌な予感を察知し、はぁ、といったような態度で間髪入れずにまた問い返す。
「...居座らせてくれないかな。」
「いやにきまってんだろ!?!?」
少年の嫌な予感は的中した。
「お願い...!この辺りのこと何も分からなくて...一人だと不安で...。このままだと死んじゃうかも」
「かってにのたれじんどけよ。」
教育などというものを毛ほども受けていない少年は躊躇うことなくそう言う。自分のことでさえ手一杯なのに、スラム街サバイバル初心者の世話をするなどやってられない。なにより、赤の他人と寝食を共にするなど面倒だ。少年はつんとそっぽを向いた。__ひっく、ぐすん。少しの空白の後、路地裏にしゃくりあげるような音が鳴った。
は、とそっぽを向いていた少年は水色髪の少年を見やると、水色髪の少年は泣いていた。
「おねがい、なんでもするがらぁ...!おうち、がえりだぐない...!ぐすっ」
子ども特有の泣き落としというものだ。水色髪の少年は7歳ほどの男の子である。強く冷たい言葉を言われ続けるとこういったことがあっても不思議ではないのだ。そして少年は、というと狼狽えていた。こういった状況になっている親子を遠目から見たことがあった少年だが、いざ当事者になってみるとどうすればいいか分からないものである。おまけに、少年は同年代の子どもと会話をしたことがない。
「え、ちょ、なにないてんだよ、おい...!」
「やだぁ!!がえりだぐないぃ...!!!」
「はあぁぁぁ...!?」
泣きじゃくり縋り付いてくる水色髪の少年に少年はなすすべがない。こうなってはまともに話も聞いてくれないだろう。__しばらくの攻防の後。
「~~~っ...わかった!!わかったから!!!!すきなだけいろよ!!」
「ほんど...?いいの?」
「たーだーし!!!!まんぞくしたらとっととかえれよ!!!!」
少年はやむなく承諾することとなった。敗北したともいえるだろう。
「ありがとう...!ふふ、やさしいね。」
「んなわけねぇだろ...てめーのせいだ...。」
𝐜𝐨𝐦𝐢𝐧𝐠 𝐬𝐨𝐨𝐧…
𝐜𝐨𝐦𝐢𝐧𝐠 𝐬𝐨𝐨𝐧…